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未来メモリー

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「芦田愛菜、難関中学に合格」のニュースを見て東野圭吾「秘密」を思い出した

※「秘密」のネタバレはありません。


芦田愛菜、超名門私立中に合格 昨夏から芸能活動セーブで1日12時間の猛勉強 (デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース

少し前のニュースだけど、このニュースを見て何かを思い出すんだよなと思っていたら、あれだ。東野圭吾の「秘密」だ。

たくさんの作品が映像化されている東野圭吾の中でも超有名作品。もちろん「秘密」も映画化、ドラマ化されている。

三人親子がある日バスの乗車中に事故に遭う。助かったのは父と娘。そう思われたのだが、目覚めた娘には母の魂が宿っていた。主人公である男は、娘の身体に自らの妻が宿ったことを隠しながら、普通の父と娘として生きていくことにする…というお話。

 

これはあらすじを説明するのも勿体ないくらいの名作で、個人的な東野圭吾作品のランキングではかなり上位。日本中の人に読んでもらいたいくらいおすすめなのだが、そこは置いておいて本題。

 

作中、大人の意識を持ったまま身体だけ小学生の娘になってしまった直子が、まるで人生を生き直すかのように色々と努力するのがファンタジーな設定に反して妙にリアルだ。大人の経験値から幼いうちからエリート街道に入ることの有利さを知っている直子は、娘として難関私立中学を受験して合格する。

「レベル99からニューゲーム」ではないが、もし自分も大人の経験値を残したまま身体が子供になったらどうするだろう。状況にひとしきり絶望した後にそれ受け入れざるをえないとなったら、大人として知った幼いうちにやるべきことや後回しにしていいことを最大限に効率よく片付けて、自分が大人になったときにどこまでいけるか試してみたくなるのではないだろうか。

 

芦田愛菜ちゃんと言えば、特にネット上では「中の人は大人」なんて言われるのがすっかり定番化してしまったくらい実年齢とはかけ離れてた大人びた立ち居振舞いが印象的だ。女優としての芸能活動もブレイク時ほどの勢いではないにしてもしっかり続けながら、まるで芸能人という人気商売のリスクヘッジでもするかのように難関中学にも合格しておく。

大人から見たら「今の知名度に甘んじず、よく努力して勉強したよね」と感心しきりだ。残念ながら愛菜ちゃんの中身が本当に大人ということはないだろうから、努力を惜しまない本人の頑張りやもともとの頭の良さ、やるべきことを上手いこと彼女がするように誘導できた有能な親の存在によるものが大きいだろう。

しかし「秘密」の直子がやってのけたことを考えると、愛菜ちゃんの生き方にはロマンを感じる。愛菜ちゃんの生き方には「頑張りすぎじゃない?」という声もあるようだが、彼女のことだ、きっと忙しい思春期も上手にメンタルコントロールをして、何年か後には一層素敵な大人の女性の姿を見せてくれることだろう。

 

ここまで書きながら矛盾もする話だが「秘密」の直子は「レベル99でニューゲーム」の中で積極的に攻めの選択をするが、結局物語は思いもよらない展開にいく。その攻めの選択は、幸せなのか、正解なのか。エンディングをどう捉えるのかは、男性目線、女性目線でもかなり感想が違いそうだ。しつこいようだが、読んだことのない人にはぜひ読んでみてほしい。

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