未来メモリー

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男性に「かわいい」ということは失礼なのか

今ではそうでもないが、10代の頃、中性的な男の子がすごく好きだった。

高校生の頃通っていた塾に、今で言う神木隆之介くんみたいな雰囲気の他校生がいて、彼と直接話をしたことはなかったが、友達とひそかに「かわいい」ときゃいきゃい騒いでいた。
いや、厳密には友達は別に騒いでいなくて、私が一人ではしゃぎ、友達はそれを温かく見守ってくれた。

大学受験が終わり、その男の子と私はたまたま同じ大学に進学した。友達は別の大学に進学した。
大学入学したての頃、彼と話す機会があったので塾が同じだったことを取っ掛かりに思い切って私から話しかけてみたら、彼も私のことを覚えていてくれた。
それから少し親しくなり、時々喋ったりメールするようになった。
別に彼女になりたいとか下心(?)は一切なかった。彼も彼で私のことは確実に何とも思ってなかった。

ただ、真面目な彼に時々他愛もないメールをすると、気の利いた面白い返信をくれるのが意外で楽しかった。

 

ある時、どんな流れでその言葉を出したのか覚えていないのだがメールのやりとりのさなか、私が「さすが、かわいい!ウケる~」みたいなことを送った。

すると返ってきた彼のメールが予想外だった。

「あまり男に『かわいい』なんて言うもんじゃないぜ」

 

それを読んだ私はすごく驚いたしショックだった。

実は私はそれまでにも何度か彼のことを「かわいい」と言っていたのだ。

彼はきっと嫌だったのに、我慢していたのだ。あまりに私がうるさいから、見かねてハッキリ言ってくれたのだろう。

申し訳ないことをしていた。

 

それが契機というわけでもないが、もともと接点も多くなかったため、いつしか彼とは疎遠になった。

 

若かりし頃の私には、神木くんっぽいかわいい男の子の会心の一撃で、教訓だけ残った。

「男性に『かわいい』というのは失礼である」

 

 

どうしてこんなことを思い出したのかというと、先日、家族で運動公園に遊びに行き、息子にラケットを持たせてテニスの真似事をしていたとき、同じ公園内で行われていた陸上競技大会の出場者らしき女子大生二人組が通りすがりに息子を見て「かわいい~」と言ってくれたからである。

 

息子、めっちゃ恥ずかしそうだったけど、めっちゃ嬉しそうだった。

 

動揺して「かわいい~」と言われた直後にボールをあさっての方向に飛ばしていた。

 

「かわいい~」と言ってくれた女子大生二人組の顔をバッチリ見ていた夫は証言した。

「あの子達こそ、かわいい。二人ともめっちゃかわいかった」

「あの子達にかわいいと言ってもらえたら、そりゃ嬉しい」

 

ほろ苦い経験に裏打ちされた教訓が揺らいだ瞬間である。

 

 

男性に『かわいい』というのは失礼であるが、例外がある。

子供とおじさんは、結構喜ぶ。

もしくは、かわいい女の子に言ってもらう「かわいい」は結構嬉しい。

もしくは、人による。